『小森隼の小盛りのハナシ』『中務裕太のマルチダンス』が6月に関東と関西で開催される。どちらも自身のライフワークとして開催しており、ジャンルは違えど、その“芸”は超一流。だがそこにいたるまでのプロセスと努力は並大抵のものではなく「舞台が終わった次の日から、来年のことを考えてる」(小森)と、1年かけて作り上げる集大成の場となっている。
今年は小森が5年目、中務が4年目の挑戦となるが、本公演のコンセプトや見どころのほか、これまでの公演の振り返りや互いの舞台への感想、トライし続ける原動力について語ってもらった。そこには13年間、GENERATIONSメンバーとして切磋琢磨してきたふたりだからわかる相手への鋭い着眼点、このふたりにしか醸し出せない掛け合いの空気感があり、話す内容もまた“一流”。極め続けてきた者同士ならではの貴重なエンタメトークを聞くことができた。
小森隼(以下小森):“戦うふたり”というテーマになっていて、ビジュアルもそのテーマに沿って撮影しました。なぜそのテーマにしたのかというと、去年GENERATIONSは節目の年を迎え、新しいフェーズに向かったと同時に、いろいろな意味で“戦い”の多い1年だったから。それがソロ活動の『小盛りのハナシ』と『マルチダンス』にも色濃く影響しているので、今回は“戦い”とか“チャレンジ”をテーマにしてやってみようってことになったんです。
中務裕太(以下中務):僕も去年は本当に戦いまくりまして。なのに、なかなか結果がついてこなくてボロボロになっている自分を『マルチダンス』ではそのまま表現しています。ただ“戦い”はあくまで裏テーマ。そこはビジュアルとかで表現して、内容自体は自分のダンスのルーツをたどるような、ある意味“原点回帰”みたいな感じになっています。
小森:裕太くんを応援してきたファンの方がその“ルーツ”を見たら、この1年、どれだけ彼が戦ってきたかをより感じられると思います。それくらい裕太くんはむき出しになって戦ってきて、「じゃあ、むき出しになる裕太くんとは何か?」みたいな原点を見られるかなと。
小森:そうですね。そもそも“戦い”というテーマは裕太くんを見て僕が考えついたもので。ダンスという武器ひとつで戦っている裕太くんに対して、僕自身が彼のいちファンとして見たいものを提案したって感じなんです。
中務:すげぇ見てくれてる。うれしいです。でも、隼もすごい。よく2時間も話し続けられるなって。僕なら5分で限界なんで。
小森: (笑)
中務:台本をしっかりなぞりながら、プラス、ライヴ感を意識してやっているのはハンパないなと。絶対にマネできないです。
中務:アレは練習してどうにかなるのでものではない。練習してできるなら、みんなアレになってます。
小森:いや、本当にチャレンジです。フリーで話すっていう選択肢もあったけど、もうちょっとエンタメに昇華したい。じゃあ、頑張って脚本も自分で書いて、それを自分で演じるっていうところのチャレンジなんですよ。それが小森隼の強みになっているのかなっていう実感が、5弾目になる今回はありまして。「台本を丸々暗記してしゃべるってすごいね」って言っていただけるんですが、そこをさらに確立していきたいと思っています。
小森:裕太くんの内から滲み出るものが、やっぱりカッコいいなって思います。それはビジュアルとはまた違うカッコ良さで、裕太くんが向き合っているものとか、裕太くんの言葉の選び方とか、そのあとに見られるパフォーマンスとか、裕太くんの良さがすべて表現されていて。しかもどこを切り取っても誰もイヤな思いをしないっていうのがすごく素敵。僕の場合はトークをおもしろいって言ってくれる人もいますけど、角度を変えるとちょっと皮肉に聞こえる部分もあったりして。それを話すことで僕自身が消化しているところもあるんですけど、裕太くんは内から出るものを全部出しているのに“良さ”しか出てこない。そこは素晴らしいなって感じます。
中務:全部が“良さ”なのかはわからないけど、ソロなので何も隠すことがない。やりたい踊りをそのまま表現しているので、自分がすべて出ちゃっている部分はあるでしょうね。
小森:だから逆に裕太くんってこんな風に話をするんだとか、あの裕太くんがパフォーマンスでここまで悶絶して息切れするんだとか、僕でも意外な一面を見られるところもあって。
中務: (笑)
小森:でも苦しそうにしている瞬間も苦しそうに見えない。カッコいいなって思えるんですよね。
小森:職人なんでね、やっぱり。
中務:『マルチダンス』では、そんな僕も全部見られます(笑)。
小森:僕はとにかく脚本! 一から書いて生み出す苦労はハンパない。できるならやりたくないです(笑)。
小森:それもありなのかもしれないけど、自分の言葉じゃないとしゃべれないんです。僕のしゃべり口調っていうのが絶対にあるから、誰かに書いてもらったものだと、どうしても違和感が出てしまう。全編を通して“(小森隼)っぽさ”を出しているので、そこはやっぱり譲れないんですよ。
中務:僕は覚える振りが多いので、そこはメチャクチャ大変。
小森:毎回チャレンジジャンルだもんなぁ、裕太くんの場合。
中務:でもそれ以外は楽しいが勝っているので、あんまりキツいと思ったことはないです。あとやり続けてきたおかげで、最近は個人で番組に出してもらうダンスの企画も増えてきて、ちゃんと自分で表現できるようになったというか。この舞台を始めてから、「これが自分です」って胸を張ってできるようになったんですよね。
小森:僕は自分と向き合うようになりました。舞台では心の機微だったり1年間に起きたことを話すので、毎日の出来事をメモしたり、日記を書くようにしているんですけど、以前はもっと自分の感情に鈍感だったというか。どういう人と出会って、自分がその瞬間何を感じたのか、そういうことに無頓着だったんですけど、『小盛りのハナシ』は毎回、自分が感じたことややりたいこと、表現したいことが形になっていく。それがあるから、自分の内面をより考えられるようになりました。
小森:プレッシャーです。舞台が終わった次の日から、翌年のことを考えてますもん(笑)。だからもうドキュメンタリー。テンションとしては、その年の自分が凝縮されたドキュメントライヴ的な感覚があるんですよね。
中務:わかる。それが自信につながっているんだけど。
小森:回を重ねるごとに、どんどん厚みも出てくるしね。そうやって作っていくものが、今後も定着していけばいいなと思いながらやっています。
中務:「次はもっとこうやりたい」とは思います。なので、ハードルは上がっているんだけど、僕はゲストのダンサーを変えたりすれば結構簡単に(その欲を)越えられるんですよ。でも隼はひとりトークだから、めっちゃ大変だろうなと思う。
小森:僕はハードルを越えるって感覚はないかも。それより“花形”を作りたいというか。『小盛りのハナシ』といえばこれっていう型のようなものを確立したいと思っていて。「次はどんな話をするんだろう」っていうよりは、「あの人が話すあの話をまた聞きたい」ってイメージで作っている。だから前よりおもしろいものを作らなきゃってプレッシャーはなくて、それよりも前回と遜色なく、でも内容を変えていくことへの難しさといつも戦っています。
小森:近いかも。『男はつらいよ』シリーズみたいにやっていることはずっと一緒だけど「あの回で言っていた寅さんの言葉にグッときたよね」とか「毎回同じなのに今年も見たくなるよね」とか、そう思ってもらえるものにしたいからこそすごく難しい。というのも『小盛りのハナシ』といえばこれってイメージを作ろうとしても、自分が思っているものと観に来てくださる方のイメージが乖離していると、やっていることがズレてくる。そこの擦り合わせが難しいんですよね。
中務:隼のアイデアなんですけど、ふたりで真逆な感じになっています。僕がタンクトップで、隼はめっちゃタキシードみたいな。
小森:そうそうそう。
中務:だからどっちも汚しメイクをして、服装は真逆だけどリンクする部分があって、おもしろいビジュアルになっていると思います。
小森:僕らの舞台はGENERATIONSってところから飛び出してやっているものなので“カッコいい”見せ方ではなく、バラエティに富んだ“このふたりっぽい”感じのビジュアルがいいんじゃないかなと。でもこの舞台を観終わったあとに改めてそれを見ると、見え方がちょっと変わるというか。「そっか、このふたりもいろいろあってここにいるんだな」って感じてもらえるものになっていると思いますよ。
中務:本当に仲がいいんで(笑)。
小森:学生時代の友だちみたいな。そのまま成人になりましたみたいな(笑)。
中務:それはあるかもしれない。だから一緒にいて楽ですよね。
小森:僕らはGENERATIONSのグループ活動の中で、同じ場所にいた時間が多かったっていうのもあるのかもしれない。デビュー当時、亜嵐くんはすでにLDHの中でスターだったから仕事が多かったし、玲於はいち早く自分のアイデンティティを見つけて戦いに行っていて。ヴォーカルふたりもヴォーカリストとして道が決まっていたので、僕らはみんなが戦いに行っているときも、ふたりだけになる時間が結構多かった。しかも同じ寮に住んでいたので学校生活っぽい時間を過ごしたっていうのはありますね。
中務:そうですね。まんまです、いつも(笑)。
小森:うれしいです。そう言ってもらえると。
中務:今回は内容をガラッと変える部分がありまして。ちょいネタバレだけど僕のソロから始まったりとか、最後に出演者全員でサークルを作って踊ったりとか、いろいろ考えているので、楽しみにしていてほしいです。
小森:ウォッカ10杯飲んでから行く!(笑)
中務:そうそう、ウォッカでベロベロになって……、っていうのは冗談ですけど(笑)。とりあえずダンスを知らなくていいです。舞台を観れば「こういうダンスがあるんだ」って知ることができるので、変にダンスの知識とかを予習してくるよりも純粋な気持ちで観たほうが楽しんでもらえるかな、と。それで、踊りたくなったらステージに上がってきてもらってもいいですし(笑)、それくらいラクな感じで来てほしいですね。
小森:『小盛りのハナシ』は今回もこれまでと相変わらず、企画、演出、脚本を僕ひとりでやって、始まったら約2時間ノンストップでしゃべり続けます。あと今回は観に来てくださった方により共感してもらえるよう、今までの『小盛りのハナシ』ではしなかった話も1話用意しているので、それも楽しみにしていただければ。といっても「ちょっとくだらない男がこの世にいるんだな」ってベースはいつもと変わらない。そこを守りながら2時間全力でやりますので、ぜひ、息抜きのつもりで遊びに来てください。
小森:何も考えないことですね。笑いたかったら笑ってくれればいいし、泣きたかったら泣いて、眠くなったら寝てもいい。皆さん、普段生きている中で多かれ少なかれ誰かのことを気にして、自分の本当の気持ちを出せないことがあると思うんです。でも『小盛りのハナシ』の2時間だけは自分の気持ちに素直になっていい。それが僕の舞台をより楽しむきっかけになると思います。
Photography_塩崎亨
Text_若松正子
STAGE information
【大阪・サンケイホールブリーゼ】
2025年6月21日(土) 開場 14:00 / 開演 14:45
2025年6月21日(土) 開場 18:00 / 開演 18:45
【神奈川・洗足学園音楽大学前田ホール】
2025年6月29日(日) 開場 12:45 / 開演 13:30
2025年6月29日(日) 開場 16:45 / 開演 17:30
【大阪・サンケイホールブリーゼ】
2025年6月22日(日) 開場 14:00 / 開演 14:45
2025年6月22日(日) 開場 18:00 / 開演 18:45
【神奈川・洗足学園音楽大学前田ホール】
2025年6月28日(土) 開場 14:45 / 開演 15:30
2025年6月28日(土) 開場 18:45 / 開演 19:30
▼チケット料金
いずれも全席指定:¥7,700(チケット代 ¥7,000+税)
※グッズ付(会場のみでのお渡し)
詳細はこちら
https://gene.exfamily.jp/s/ldh04/news/detail/10983
今年は小森が5年目、中務が4年目の挑戦となるが、本公演のコンセプトや見どころのほか、これまでの公演の振り返りや互いの舞台への感想、トライし続ける原動力について語ってもらった。そこには13年間、GENERATIONSメンバーとして切磋琢磨してきたふたりだからわかる相手への鋭い着眼点、このふたりにしか醸し出せない掛け合いの空気感があり、話す内容もまた“一流”。極め続けてきた者同士ならではの貴重なエンタメトークを聞くことができた。

今回は小森さんが第5弾、中務さんが第4弾の公演となります。共通のテーマがあるとお聞きしたのですが……。
小森隼(以下小森):“戦うふたり”というテーマになっていて、ビジュアルもそのテーマに沿って撮影しました。なぜそのテーマにしたのかというと、去年GENERATIONSは節目の年を迎え、新しいフェーズに向かったと同時に、いろいろな意味で“戦い”の多い1年だったから。それがソロ活動の『小盛りのハナシ』と『マルチダンス』にも色濃く影響しているので、今回は“戦い”とか“チャレンジ”をテーマにしてやってみようってことになったんです。
中務裕太(以下中務):僕も去年は本当に戦いまくりまして。なのに、なかなか結果がついてこなくてボロボロになっている自分を『マルチダンス』ではそのまま表現しています。ただ“戦い”はあくまで裏テーマ。そこはビジュアルとかで表現して、内容自体は自分のダンスのルーツをたどるような、ある意味“原点回帰”みたいな感じになっています。
小森:裕太くんを応援してきたファンの方がその“ルーツ”を見たら、この1年、どれだけ彼が戦ってきたかをより感じられると思います。それくらい裕太くんはむき出しになって戦ってきて、「じゃあ、むき出しになる裕太くんとは何か?」みたいな原点を見られるかなと。
そこまでなぜ戦えるのか、その根本を掘り下げている?
小森:そうですね。そもそも“戦い”というテーマは裕太くんを見て僕が考えついたもので。ダンスという武器ひとつで戦っている裕太くんに対して、僕自身が彼のいちファンとして見たいものを提案したって感じなんです。
中務:すげぇ見てくれてる。うれしいです。でも、隼もすごい。よく2時間も話し続けられるなって。僕なら5分で限界なんで。
小森: (笑)
中務:台本をしっかりなぞりながら、プラス、ライヴ感を意識してやっているのはハンパないなと。絶対にマネできないです。
しかもどの話もちゃんと全部おもしろい。練習だけではあそこまで到達できないです。
中務:アレは練習してどうにかなるのでものではない。練習してできるなら、みんなアレになってます。
小森:いや、本当にチャレンジです。フリーで話すっていう選択肢もあったけど、もうちょっとエンタメに昇華したい。じゃあ、頑張って脚本も自分で書いて、それを自分で演じるっていうところのチャレンジなんですよ。それが小森隼の強みになっているのかなっていう実感が、5弾目になる今回はありまして。「台本を丸々暗記してしゃべるってすごいね」って言っていただけるんですが、そこをさらに確立していきたいと思っています。

そんな小森さんから見た『マルチダンス』の魅力は?
小森:裕太くんの内から滲み出るものが、やっぱりカッコいいなって思います。それはビジュアルとはまた違うカッコ良さで、裕太くんが向き合っているものとか、裕太くんの言葉の選び方とか、そのあとに見られるパフォーマンスとか、裕太くんの良さがすべて表現されていて。しかもどこを切り取っても誰もイヤな思いをしないっていうのがすごく素敵。僕の場合はトークをおもしろいって言ってくれる人もいますけど、角度を変えるとちょっと皮肉に聞こえる部分もあったりして。それを話すことで僕自身が消化しているところもあるんですけど、裕太くんは内から出るものを全部出しているのに“良さ”しか出てこない。そこは素晴らしいなって感じます。
中務:全部が“良さ”なのかはわからないけど、ソロなので何も隠すことがない。やりたい踊りをそのまま表現しているので、自分がすべて出ちゃっている部分はあるでしょうね。
小森:だから逆に裕太くんってこんな風に話をするんだとか、あの裕太くんがパフォーマンスでここまで悶絶して息切れするんだとか、僕でも意外な一面を見られるところもあって。
中務: (笑)
小森:でも苦しそうにしている瞬間も苦しそうに見えない。カッコいいなって思えるんですよね。
確かにGENERATIONSの中で、中務さんは寡黙で淡々としたイメージ。ひたすら黙々と踊りに集中するみたいな。
小森:職人なんでね、やっぱり。
だから息切れしているイメージはないかも。
中務:『マルチダンス』では、そんな僕も全部見られます(笑)。
おふたりとも年に1回公演を開催していますが、最も大変なことは何ですか?
小森:僕はとにかく脚本! 一から書いて生み出す苦労はハンパない。できるならやりたくないです(笑)。
作家さんに頼もうとは思わない?
小森:それもありなのかもしれないけど、自分の言葉じゃないとしゃべれないんです。僕のしゃべり口調っていうのが絶対にあるから、誰かに書いてもらったものだと、どうしても違和感が出てしまう。全編を通して“(小森隼)っぽさ”を出しているので、そこはやっぱり譲れないんですよ。
中務:僕は覚える振りが多いので、そこはメチャクチャ大変。
小森:毎回チャレンジジャンルだもんなぁ、裕太くんの場合。
中務:でもそれ以外は楽しいが勝っているので、あんまりキツいと思ったことはないです。あとやり続けてきたおかげで、最近は個人で番組に出してもらうダンスの企画も増えてきて、ちゃんと自分で表現できるようになったというか。この舞台を始めてから、「これが自分です」って胸を張ってできるようになったんですよね。
小森:僕は自分と向き合うようになりました。舞台では心の機微だったり1年間に起きたことを話すので、毎日の出来事をメモしたり、日記を書くようにしているんですけど、以前はもっと自分の感情に鈍感だったというか。どういう人と出会って、自分がその瞬間何を感じたのか、そういうことに無頓着だったんですけど、『小盛りのハナシ』は毎回、自分が感じたことややりたいこと、表現したいことが形になっていく。それがあるから、自分の内面をより考えられるようになりました。
でも毎年、これだけクオリティの高いソロライヴをやるのはプレッシャーじゃないですか?
小森:プレッシャーです。舞台が終わった次の日から、翌年のことを考えてますもん(笑)。だからもうドキュメンタリー。テンションとしては、その年の自分が凝縮されたドキュメントライヴ的な感覚があるんですよね。
中務:わかる。それが自信につながっているんだけど。
小森:回を重ねるごとに、どんどん厚みも出てくるしね。そうやって作っていくものが、今後も定着していけばいいなと思いながらやっています。
回を追うごとに欲も出てきません?
中務:「次はもっとこうやりたい」とは思います。なので、ハードルは上がっているんだけど、僕はゲストのダンサーを変えたりすれば結構簡単に(その欲を)越えられるんですよ。でも隼はひとりトークだから、めっちゃ大変だろうなと思う。
小森:僕はハードルを越えるって感覚はないかも。それより“花形”を作りたいというか。『小盛りのハナシ』といえばこれっていう型のようなものを確立したいと思っていて。「次はどんな話をするんだろう」っていうよりは、「あの人が話すあの話をまた聞きたい」ってイメージで作っている。だから前よりおもしろいものを作らなきゃってプレッシャーはなくて、それよりも前回と遜色なく、でも内容を変えていくことへの難しさといつも戦っています。
シリーズものの映画やドラマを作る感覚?
小森:近いかも。『男はつらいよ』シリーズみたいにやっていることはずっと一緒だけど「あの回で言っていた寅さんの言葉にグッときたよね」とか「毎回同じなのに今年も見たくなるよね」とか、そう思ってもらえるものにしたいからこそすごく難しい。というのも『小盛りのハナシ』といえばこれってイメージを作ろうとしても、自分が思っているものと観に来てくださる方のイメージが乖離していると、やっていることがズレてくる。そこの擦り合わせが難しいんですよね。
そこもまさに“戦い”ですね。ちなみに先ほど “戦い”をテーマにビジュアルを撮影したと言っていましたが、具体的にどんなビジュアルになっているんですか?
中務:隼のアイデアなんですけど、ふたりで真逆な感じになっています。僕がタンクトップで、隼はめっちゃタキシードみたいな。
それぞれの“戦闘服”ですよね?
小森:そうそうそう。
中務:だからどっちも汚しメイクをして、服装は真逆だけどリンクする部分があって、おもしろいビジュアルになっていると思います。
小森:僕らの舞台はGENERATIONSってところから飛び出してやっているものなので“カッコいい”見せ方ではなく、バラエティに富んだ“このふたりっぽい”感じのビジュアルがいいんじゃないかなと。でもこの舞台を観終わったあとに改めてそれを見ると、見え方がちょっと変わるというか。「そっか、このふたりもいろいろあってここにいるんだな」って感じてもらえるものになっていると思いますよ。
おふたりの仲の良さも感じられそうですね。
中務:本当に仲がいいんで(笑)。

わかります(笑)。GENERATIONSは皆さん仲がいいですけど、なかでも小森さんと中務さんのペアは、いつもリラックスした独特のラフ感があるんですよね。
小森:学生時代の友だちみたいな。そのまま成人になりましたみたいな(笑)。
中務:それはあるかもしれない。だから一緒にいて楽ですよね。
小森:僕らはGENERATIONSのグループ活動の中で、同じ場所にいた時間が多かったっていうのもあるのかもしれない。デビュー当時、亜嵐くんはすでにLDHの中でスターだったから仕事が多かったし、玲於はいち早く自分のアイデンティティを見つけて戦いに行っていて。ヴォーカルふたりもヴォーカリストとして道が決まっていたので、僕らはみんなが戦いに行っているときも、ふたりだけになる時間が結構多かった。しかも同じ寮に住んでいたので学校生活っぽい時間を過ごしたっていうのはありますね。
ラフな関係性はそういった環境で育まれたんですね。あとおふたりとも、基本的に自分を盛らないイメージ。カッコつけないですよね?
中務:そうですね。まんまです、いつも(笑)。
小森:うれしいです。そう言ってもらえると。
そんなおふたりから、改めて今回の舞台の見どころを。
中務:今回は内容をガラッと変える部分がありまして。ちょいネタバレだけど僕のソロから始まったりとか、最後に出演者全員でサークルを作って踊ったりとか、いろいろ考えているので、楽しみにしていてほしいです。
『マルチダンス』をより楽しく観るコツとかあります?
小森:ウォッカ10杯飲んでから行く!(笑)
中務:そうそう、ウォッカでベロベロになって……、っていうのは冗談ですけど(笑)。とりあえずダンスを知らなくていいです。舞台を観れば「こういうダンスがあるんだ」って知ることができるので、変にダンスの知識とかを予習してくるよりも純粋な気持ちで観たほうが楽しんでもらえるかな、と。それで、踊りたくなったらステージに上がってきてもらってもいいですし(笑)、それくらいラクな感じで来てほしいですね。
小森:『小盛りのハナシ』は今回もこれまでと相変わらず、企画、演出、脚本を僕ひとりでやって、始まったら約2時間ノンストップでしゃべり続けます。あと今回は観に来てくださった方により共感してもらえるよう、今までの『小盛りのハナシ』ではしなかった話も1話用意しているので、それも楽しみにしていただければ。といっても「ちょっとくだらない男がこの世にいるんだな」ってベースはいつもと変わらない。そこを守りながら2時間全力でやりますので、ぜひ、息抜きのつもりで遊びに来てください。
楽しく観るコツは?
小森:何も考えないことですね。笑いたかったら笑ってくれればいいし、泣きたかったら泣いて、眠くなったら寝てもいい。皆さん、普段生きている中で多かれ少なかれ誰かのことを気にして、自分の本当の気持ちを出せないことがあると思うんです。でも『小盛りのハナシ』の2時間だけは自分の気持ちに素直になっていい。それが僕の舞台をより楽しむきっかけになると思います。
Photography_塩崎亨
Text_若松正子
STAGE information
『小森隼の小盛りのハナシ 2025』
『中務裕太のマルチダンス〜多次元裕太をお見せします 2025〜』
『小森隼の小盛りのハナシ 2025』
【大阪・サンケイホールブリーゼ】
2025年6月21日(土) 開場 14:00 / 開演 14:45
2025年6月21日(土) 開場 18:00 / 開演 18:45
【神奈川・洗足学園音楽大学前田ホール】
2025年6月29日(日) 開場 12:45 / 開演 13:30
2025年6月29日(日) 開場 16:45 / 開演 17:30
『中務裕太のマルチダンス~多次元裕太をお見せします 2025~』
【大阪・サンケイホールブリーゼ】
2025年6月22日(日) 開場 14:00 / 開演 14:45
2025年6月22日(日) 開場 18:00 / 開演 18:45
【神奈川・洗足学園音楽大学前田ホール】
2025年6月28日(土) 開場 14:45 / 開演 15:30
2025年6月28日(土) 開場 18:45 / 開演 19:30
▼チケット料金
いずれも全席指定:¥7,700(チケット代 ¥7,000+税)
※グッズ付(会場のみでのお渡し)
詳細はこちら
https://gene.exfamily.jp/s/ldh04/news/detail/10983